【出演】
黒田亜樹(ピアノ)
【曲目】
・A.ピアソラ(黒田亜樹編):天使のミロンガ
・J.Sバッハ(J.ブラームス編):左手の為のシャコンヌ
・L.ヤナーチェク:1905年10月1日の街角で 他
※プログラムは変更になる場合がございます。
【プロフィール】
■黒田亜樹 Aki Kuroda
東京藝術大学卒業後、イタリア・ペスカーラ音楽院高等課程を最高位修了。
フランス音楽コンクール優勝。ジローナ20世紀音楽コンクール現代作品特別賞受賞。現代音楽演奏コンクール優勝、朝日現代音楽賞受賞。
卓越した技術と鋭い感性は作曲家からの信頼も高く、「サントリーサマーフェスティバル」「東京オペラシティB→C」など、主要な現代音楽演奏会にて内外作品の初演を多数手がける。ビクターより「タンゴ・プレリュード」「タンゴ2000」をリリース。作曲家・植松伸夫と浜渦正志の指名により録音した「Piano Collections FINALFANTASY」や、LIMENレーベルよりリリースした「ブルクミュラー練習曲全集」のDVDによっても、世界中のファンに親しまれている。
国外ではSpazio Musica現代音楽祭、エトネ音楽祭への出演などイタリアを中心に活動。「東京現音計画」メンバーとしてサントリー芸術財団佐治敬三賞受賞。現在、ミラノ在住。
◎出演者に聞いてみた! 黒田亜樹さんの「ト」「リ」「セ」「ツ」
Q. 黒田さんはイタリアミラノ在住なのですね、素敵ですね!日本との文化的な違いで印象に残ることなど教えてください。
とにかくよく喋るのがイタリア人ですね。関西人とイタリア人は世界一よく喋る!と思います(私も関西人です)。学校の授業でも小学校の時から口頭で発表する機会が本当に多くて、息子が学校に通う様子を見ていると、こういうふうに育てられると、みんなよく喋るようになるんだなあと思ったものでした。特にみんな歴史の話が大好きなんです。タクシーの運転手さんも歴史の話になると止まりません。長距離列車で隣の席の人とちょっと仲良くなったあかつきには、到着駅までひたすら歴史の話をする羽目になります。イタリア周辺の歴史ばかりではなく、他国の歴史や文化にも興味津々。友人から鎌倉時代と奈良時代の着物の違いを根掘り葉掘り聞かれて、しどろもどろになったこともありますし、宗教や政治の話になると、お茶を飲みながらとことん突っ込まれます。日本ではおしゃべりクロアキと言われてきましたが、イタリアにいると割と口数が少ないと思われているかもしれません(笑)。友人たちの口数と教養の豊かさには全く太刀打ちできませんね。
Q. クラシックのみならず、様々なジャンルの音楽を演奏される黒田さん。音楽以外でも多趣味なのでしょうか?
A. 仕事上旅行が多いので、本番が少ない時期は家で抜け殻状態のことが多く、趣味らしい趣味もないのですが、敢えていうなら、昔から人間観察に好奇心があり、心理学的なことを勉強するのも好きなのでそれが趣味?かな?色々な国や地方で食べたものを、後から思い出して料理するのも好きです。
Q. 演奏で大切にしていることはありますか?
A. 演奏とは、常に私の素がすべて露わになってしまう行為なので、何か演奏中に大切にするというよりは、普段の生活や生き方において、「センス」を大事にしています。でも、センスが良いとか悪いとか、センスのいい服装とか格好が良い、という意味ではないんです。わたしの考える「センス」とは、何か大切なことがらをキャッチする感度であったり、どの方向に進むかを瞬時に判断する力であったり、野生的な勘のようなものでしょうか。その「センス」を通して、聴きてのみなさんと響き合う瞬間が生まれたら最高です。
Q.今回のコンサートの聴きどころを教えてください!
A. 12月、このコンサートを迎える頃、街はクリスマスのイルミネーションで美しく輝いているのではと想像しながら、祈りを込めてプログラムを編んでみました。まずバッハのヴァイオリン無伴奏作品の名編曲を2つお楽しみいただきます。セルジョ・フィオレンティーノは伝説的なイタリアの名ピアニスト。ブラームスが左手だけで弾くために編曲した「シャコンヌ」とともに取り上げます。わたしがライフワークにしているピアソラ作品のピアノ編曲は、わたし自身が手掛けました。海外で人気の高い佐藤聡明さんのコラールでは、音の渦に身を委ねていただければ幸せです。メインに据えたヤナーチェクのソナタは、《予感》と《死》の二つの楽章からできています。ぜひ聴きてのみなさんと作品に込められた魂の音と祈りを分かち合いたいと思います。